「前世もの」作品の構成要素――少女漫画と少女漫画以外の相違性
引用部分色つき太字。
『花まんま』『スピリットサークル』『懲役339年』『ファンタジックチルドレン』『妖狐×僕SS』『密・リターンズ!』のネタバレあり。
前世。
それは運命のことわりによって生を越えてつづく魂の前身。
肉体が死を迎えても滅びぬ魂が新たな肉体をもって生まれ変わることわり。
身体と魂が分離した別個の存在であるとする物語。
さて、そのように世界を見た作品は世界中に根強く存在しています。
そこでのほとんどの作品は、肉体を移し変えただけで現世と前世でまったく同値の人格を取ります。
そうでなくとも、「生まれ変わる魂」への疑問を一切持ちません。
しかし全体的に見れば僅かながらそれへの疑問を指摘し運命と自我の兼ね合いに反発・葛藤・考察する作品が現れています。
本記事が言及していくのはそういった作品についてです。
よってここでの「前世もの」の定義は「生を越えてつづく自己に懐疑を抱く転生作品」とします。
エメリー語りと真矢ちゃん語り
蒼穹のファフナーEXODUSも残すところあと3話。
エメリーと真矢ちゃんがとんでもなく愛くるしいです。
吐き出したくなったので語ります。
※CDドラマ『THE FOLLOWER2』以前の解釈になります。真矢ちゃん解釈180度変わるファフナーEXODUS単巻11巻を買いましょう※
『蒼穹のファフナー EXODUS』における「人間らしさ」とは何か
引用部分色つき太字。
『蒼穹のファフナー EXODUS』13話終了時点での記事です。
『蒼穹のファフナー』において「人間」とはどういう存在か。
フェストゥムという未知の生命体を据えたことで、この作品は繰り返しそのことを問いかけてきました。
それがすなわち「あなたはそこにいますか」というテーマであり、「心を持つ」「個の確立」であったと。
無印第1期『蒼穹のファフナー』での「人間」とは「フェストゥムとは違って心を持ち個を確立する者」でした。
真矢「お父さんはフェストゥムとどう違うの?」(『蒼穹のファフナー』18話)
史彦「フェストゥムは……泣かない」(『蒼穹のファフナー』20話)
といった台詞は、フェストゥムを通して「人間」を定義する言葉です。
『蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH』では来主操というフェストゥムがその定義を揺るがし、人とフェストゥムの境目を曖昧化させました。
『蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH』という作品は、フェストゥムが心を持ち個を確立させた物語だったからです。
それゆえに人類軍が核を落とした際には「同じ人間がここにいるんだぞ!」という台詞が繰り出され、人間とフェストゥムの立ち位置を撹乱したのです。
商業BLにおけるセクシャルマイノリティの表現について
引用部分色つき太字。
今記事は『アイツの大本命』7巻のネタバレを含みます。
結構前からやってみたかったことをやっと決行。
私は意識してBL読み始めてからまだ2年ほどなんだけど、セクシャリティ的に気になる表現によく出会う。
読者を萌えさせることが一番の目的でしょうに、萎えることもしばしばです。
なので日頃BL読んでて気になった不満やらを発散したいなと。
もちろん不満だけでなく「素晴らしい!」って思ったこともあるんで紹介するよ。
そしてふたつ注意を。
これから書くことは、単に「私が」気になったことであって、セクシャルマイノリティ全体を代表する言葉ではないこと。
マイノリティだろうがマジョリティだろうが一人一人考え方捉え方全然違います。
それから、表現に批判はしても、作者・作品そのものを否定する記事ではないこと。
偏見の言葉の背景には、その偏見を刷り込んだ社会事情があり、作品表現は意識的にせよ無意識的にせよ社会を反映した結果だと私は考えているからです。
大好きな作品でも差別表現に出くわすことはあるってだけ。
以上を踏まえてどうぞ。
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