『水星の魔女』に期待していいのだろうか~恋愛匂わせ百合アニメの20年史~
※色々な作品の致命的なネタバレを続々するので適時気をつけてください。
百合オタクになってから10年強と経ちますが正直なところ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に恋愛百合を期待していいものかどうか、未だにわかりません。
だって今までずっとそれは期待してはいけないものだったから。
だって、
いくら事後の雰囲気出していようが、
いくら殺し愛をしようが、
いくら世界を敵に回してでも愛する人一筋になろうが、
いくら殺されてもいいとまっすぐ愛の告白をしようが、
いくら独占欲にまみれて押し倒そうが、
それでもその関係を恋愛とは呼んでくれたことはなかったから。思春期一過性と切り捨てられてきたから。
恋愛かと思えばふたりは別れるかふたりが世界に別れを告げてしまっていたから……。
だから怖いんです。
婚約して「ずっとそばにいて」と泣いてハグしても信じられない。
期待してもどうせ裏切られるって思ってる。恋愛とは明言せずにいくらでも逃げ道を用意してるだろうって思ってる。女同士にどうせ恋愛としてこの世を生きる結末はないんだろうと。
本記事ではどうして私がそう思うようになったのかの一端をお伝えできればいいな。
(もちろん現実社会がそう思わせるに充分な状況だからではありますが、ここではその社会と相互に影響しあっている百合アニメの視点からお伝えしたいと思います)
「恋愛匂わせ百合」の定義
「恋愛匂わせ百合」とは、「女同士の関係性がそれなりに比重を置いて描かれているけれども恋愛とは明言しない百合」のことです。
どこまでが「それなり」かは私判断です。ファンダムに百合として受容されたかどうかも加味します。
なぜ匂わせに留まるのか
なぜ匂わせに留まり、恋愛を描くことが困難なのでしょうか。
恋愛百合を求め許容する視聴者層が限られていたからです。あとで見ますが特に近年のアニメは広くマスを追求しているのでマイナーな恋愛百合は相性が悪く、むしろ嫌悪する層もいるのでリスクですらあるのです。
これここに至るまで約20年の百合アニメ史を振り返りましょう。
基本私が視聴済み作品を挙げるので必然漏れはあると思いますが、未視聴含めてできるだけ要所は押さえたつもりです。
★1990年代
まず90年代は『美少女戦士セーラームーン』シリーズと『少女革命ウテナ』がありました。
『セーラームーン』のはるかとみちるは百合として受容され、『ウテナ』は恋愛ではないが百合であり最後は分かたれます。劇場版『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』ではキスをして荒野へ旅立ちます。
『セーラームーン』は見てないので評価できないのですが微妙さを保ちつつ恋愛に近いものとして描かれるし、今生の別れをしそうでしないとのこと。その点ではやはりこういうのは先駆けが一番ラディカルということか。
先取りになりますがその一方別れたり世界から脱出したりする『ウテナ』はのちの反・匂わせ系の原点とも言えるでしょう。
どちらも匂わせ系とは言いがたくあります。
2000年代はそんな90年代を受けての模索期と言えそうです。
★2000年代
百合ブームからの模索期
百合ブームの火つけ役として大ヒットした箱庭疑似恋愛『マリア様がみてる』が2002年~アニメ化します。
これを受けてか様々な百合アニメが生まれました。
2001年『NOIR』はバディもの。2004年『KURAU Phantom Memory』はふたりでひとつの揺るがない純匂わせ系。
2004年『魔法少女リリカルなのは』シリーズも(私は未視聴ですが)百合オタクと非百合オタクが共存していた印象です。
2004年『舞-HiME』は片想いの恋愛がはっきり描写されますが2005年『舞-乙HiME』で両想い匂わせ路線にシフト。
00年代半ばから後半にかけて、実は恋愛百合の高まりが見えてはいました。
2004年『神無月の巫女』はヒロインが男と女どちらとくっつくかわからない緊張感の中、最終的に女と結ばれます。
2006年『シムーン』では何度も様々なキャラ同士の様々なキスが変奏され、最終的に主役カップルが結ばれます。
しかし『神無月の巫女』は今生では別れて転生エンド。
『シムーン』は脇キャラたちが「思春期一過性の感情」を卒業していく中、最後主役ふたりはその圧から抜け出すように世界から姿を消します。
つまり『神無月の巫女』も『シムーン』も限りなく恋愛色が強く結ばれますが別れや世界からの脱出を余儀なくされます。
現代ものではもっと恋愛百合を煮詰めていきます。
2006年『Strawberry Panic』は本記事唯一オリジナルストーリー・地上波アニメで「正面から恋愛をやり別れもせず世界からも脱出せずラスト今生で添い遂げた百合アニメ」です。(少なすぎる!!!!! 『神無月の巫女』がギリ転生再会したといえ……)
2007年Webアニメ『Candy boy』はかなり恋愛・性愛寄りでしかも別れません。
2009年にはようやく原作つき正統派恋愛百合の『青い花』『ささめきこと』がアニメ化されます。ただしアニメではメインカップルが恋愛関係になるところまでは到達しません。
いまいち受けない? 日常系へ取って代わる
恋愛百合のきざしが見えるも、キスや恋愛といったあからさまな同性愛描写はいまいち受け入れられず百合ブームは終焉。
その後は2007年『らき☆すた』2009年~『けいおん!』を代表とするいちゃいちゃだけを摂取できる日常系に吸収されていきました。
今振り返ると『マリみて』からの百合ブーム→だんだん恋愛百合がコア化していき視聴者層が狭まる→恋愛要素を抜いて一般化していく流れが見えます。
『Candy boy』が短編Webアニメで実の姉妹を扱ったのもこの時期のコア化を象徴しているでしょう。
整ってくる匂わせ系
恋愛百合の終焉とともに再び匂わせ百合へと落ち着いてきます。
『NOIR』との三部作2004年『MADLAX』2007年『エル・カザド』、2008年『喰霊-零-』。
『喰霊-零-』はいちゃいちゃ要素殺し愛要素が百合オタクのほうを向いている一方、片割れの黄泉には仲睦まじき許嫁の男との異性愛展開もたっぷり用意されます。
未視聴ですが2008年~『ストライクウィッチーズ』、2009年~『咲-Saki-』も百合的に重要な匂わせ系です。
2000年代まとめ
・匂わせ百合を発端とする百合ブーム→恋愛百合のきざし→日常系、再び匂わせ百合へ
・限りなく恋愛に近づいた作品はラストで別れるもしくは世界から抜け出す
・この世で添い遂げエンドの恋愛百合はほぼほぼ皆無
・百合オタク向けと非百合オタク向けの塩梅を探り、高まりかけた恋愛百合は消滅
★2010年代
2000年代の探りを経て次の10年に残り、立場を確立させたのは「日常系」と「匂わせ系」でした。その中間地点あたりに「女の子たちが集ってなにかをやる系」が根を張っていきます。*1
10年代は上記三点を軸に恋愛百合ではないからこそ男との異性愛が入る余地が生まれていることと、後期には原作恋愛百合のアニメ化が展開していく実際を確認できます。
日常系
私はほぼ詳しくない「日常系」ですが、この時期百合的に代表的なのは2012年『きんいろモザイク』とかかな? いわゆる「きらら系」。
2011年~『ゆるゆり』のヒットは2010年代を決定づけたのではないかと思います。
ゆるくない百合は売れない、ゆるい百合をやればいいと。
反対に一時期コア化したためにあまり百合に近づいてこなかった層を取り込んだのもこの作品かもしれません。だからこそいっそう恋愛は匂わせどまりになりました。
女の子たちが集ってなにかをやる系
結局様々な視聴者層を取り込む最大公約数が「女の子たちが集ってなにかをやる系」だったのだと思います。
これも幅が広すぎて絞れないのですが例えばきらら系で言えば2014年『ハナヤマタ』2018年~『ゆるキャン△』、それ以外では2012年~ 『ガールズ&パンツァー』から2018年『宇宙よりも遠い場所』まで多種多様。
このへんの系統は匂わせのような、全くそうではないような、作品によってもばらばらのなんとでも言えるゾーンです。
女の子が見たい層、起伏あるストーリーが見たい層、恋愛は見たくない層、がんばる人が見たい層、そして百合が見たい層、百合は見たくない層、……すべての層を欲張るマーケティングの努力が結実しているからです。
匂わせ系
さて2000年代に学びを得たアニメ業界は、広く視聴者を見込める匂わせ百合を全面に便利に使っていきます。有り体に言って「非百合オタクは恋愛百合を避けるけど百合オタクは匂わせ系でもついてくる」と学ばれたのです。
恋愛百合を求めても叶わない。「百合アニメ」は増える一方恋愛と断定してはもらえない。もうずっとそうですが不遇の時代です。
2010年代の匂わせ系といえば筆頭に上げたいのは2011年『魔法少女まどか☆マギカ』。
一緒に心中したり世界を敵に回しても相手を守ったり、恋愛と呼ぶにも憚られる重たい「愛」が描かれます。
わかるんです、恋愛の文脈に足を絡めとられないからこそ自由な翼を羽ばたかせることができることも。
私もそういう百合を愛しています。
けれど名状しがたい関係そればかりが描かれすぎてはいませんか。
この百合あふれるアニメ界の中で、はっきり恋と呼ばれる百合があんまりにも少なすぎやしませんか。
まどかとほむらが男女なら同じ描写でも恋愛として受容されているでしょう。
悲しいことに百合はもっとあからさまに恋愛だ、と公言しなければ恋愛扱いされないのです。そして公言した作品はありませんでした。
『まどマギ』フォロワーとして2014年~『WIXOSS』シリーズ、同じく2014年~『結城友奈は勇者である』シリーズがありますがこれも重たい愛の匂わせ百合。
2012年~『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズはもはや公認のカップルが存在します。それでもギリギリ公言されない。
2015年『蒼穹のファフナー EXODUS』でも世界よりあなたを守る百合が、2016年『終末のイゼッタ』は戦時下の主従関係で命を賭して守りあう百合が描かれます。
壮大ロマンスでなくても2012年『ラブライブ!』は百合二次創作を興隆させ、続くシリーズでも百合を匂わせます。
近い畑の『アイドルマスター』シリーズも百合カップリングを意識してますし、まだアニメ化されていませんが後述する『シャイニーカラーズ』も百合を推しています。
これは私は触れていないんですが2017年『BanG Dream!』もアプリゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』のほうで百合色を強めています。
ゲームで言うなら『結城友奈は勇者である 花結いのきらめき』もアニメ本編より百合色を強めているんですよね。
2018年匂わせ百合『刀使ノ巫女』なんかもありますが、2018年『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の頃にはもう手慣れたもので、強く惹かれあう少女たちの憧れや依存や強烈な感情をちょうどよくお出ししてきます。
「恋愛よりも尊い特別な関係」
ここでよくある反論を織り込んでおきましょう。「なんでもかんでも恋愛に回収するな、恋愛よりも尊い特別な関係なのに」。
その反論はよくわかりますし、実際私も「"百合"を恋愛のみに狭めるな」という記事を書きました。
「百合=恋愛のみ」じゃないって何度言ったらわかるんだ - 青い月のためいき
しかしここでは別角度から言わせてください。
恋愛を真正面から描いてこの世で共に生きる百合アニメが皆無に等しいのに、先んじて「恋愛を超えた」関係ばかりが描かれていること。
恋愛以外の百合も愛しているんです。でもなぜ恋愛百合を避けるのか。なのになぜ百合の横で男とはさっさと恋愛をやるのか。
もうたくさんだよ。
異性愛
百合を恋愛と定めないばかりに男と異性愛する百合アニメは結構あります。
2012年『新世界より』はよくある偏見「思春期一過性」をなぞるかのように幼少期のボノボ的同性間性行為とそれに伴う思慕を描き、大人になると異性カップルに収まります。
2015年『響け!ユーフォニアム』は引力(公式)で結ばれたふたりがいますがふたりとも好きな男がいたり彼氏ができたりします。
原作者の好みとして「異性愛と同等以上に特別な女」があるし、それは恋愛至上主義への反抗とも言えますが。でも結局「思春期一過性、やがて男と本番の恋」を覆すほどの反抗にはなりません。
思想で言えば2014年『アナと雪の女王』も姉妹愛が異性愛を凌駕する思想が描かれますが同時にアナは異性と恋愛もします。*2
2014年『思い出のマーニー』もクライマックスで「世界で一番大好き」と伝えあったりしますが実はその想い人はすでに故人で異性婚した祖母だと判明します。*3
2014年『クロスアンジュ』もキスとかかますけど最初から片想いであり主人公は男と仲良くやっています。(というかこれはほんの一例でこの手の失恋要員百合キャラは腐るほどいる)
2013年~『進撃の巨人』は固く結ばれる直前だったふたりはその寸前で別れます。これも原作者の思想が「強固な絆の称揚は危険」だからだと理解していますが別れは別れ。ヒストリアはなんか適当な男と適当な恋をして(??)身ごもります。
2015年~『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』では同じ男を好きな女同士がポリアモリー関係を築いて最終的に男を除いたふたりで結婚します。これは結婚の規範を揺るがす試みでもあります。が、やっぱり恋愛は描かれない。
2019年『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝-永遠と自動手記人形-』は「やがて男とつがう運命が定められている女の思春期一過性の甘酸っぱい恋」で締められる。
『ユーフォ』も『進撃』も『アナ雪』も『鉄血』も単体作品としては思想が理解できるし、必要性もわかるんです。
でも単体では見られても束になるとじわじわきつい。
結局ここに立ち戻ります。
なぜ女同士の恋愛を明言せず避けるのか?
なのになぜ男女の恋愛はさっさとやるのか?
オリジナルアニメでは恋愛百合はできないのか?
2015年『ユリ熊嵐』はトモダチと性愛的関係を結ぶ、トモダチの脱構築をやります。が、やっぱりトモダチで恋愛でユリを強めた本作もラスト結ばれたふたりはこの世界から脱出してしまいます。
未来の異性愛も予感させない、ふたりが離別しない、世界からも脱出しない、恋愛と呼びうる作品として2018年『リズと青い鳥』があります。
ですがこれも視聴者に「絶対恋愛だ」とは合意形成されず、また最後も恋愛として結ばれたわけではありません。
日常系・匂わせ系・女の子たちが集ってなにかをやる系・異性愛系全部乗せ
ここで日常系・匂わせ系・女の子たちが集ってなにかをやる系・そして異性愛系という2010年代の百合ラインナップを説明するのにちょうどよいソーシャルゲーム『アイドルマスターシャイニーカラーズ』の話です。
まだアニメ化はしていませんが象徴的なので。
『アイドルマスター』シリーズの原点はアイドルと(ほぼ男性と断定してよい)プロデューサーとの夢コンテンツ。
それが徐々に百合需要もキャッチしてついに『シャイニーカラーズ』では百合をとことん狙っていきますが、原点の顧客も手放せません。
ゆえにガチャで引くカードを二種に分け「プロデュース(P)カード」は異性愛匂わせ夢ストーリー、「サポート(S)カード」は百合匂わせいちゃいちゃストーリーに二分しました。つまり夢男層も百合好き層も両取りしている。
そのせいで「Sカードでは女に"巨大感情"を向ける女がPカードでは男に全力で恋している」という構図が生まれています。
未視聴ですがアニメ2015年『艦隊これくしょん-艦これ-』でも同じ構図が見えます(提督(プレーヤー)×艦むす、艦むす×艦むす)が、先のマス向けマーケティングの一端と言えます。
百合漫画の興隆によるアニメ化ラッシュ
さてそんな状況の中原作つき恋愛百合漫画が続々アニメ化しているのも2010年代からの特徴です。出版業界での百合興隆がアニメにも派生しているのでしょうか。
2014年『犬神さんと猫山さん』2018年『やがて君になる』がアニメ化しましたがアニメでは付き合うところまで到達せず、これは『青い花』『ささめきこと』の時代から変わりません。
ですが2017年『捏造トラップ-NTR-』2018年『citrus』ではアニメでも恋愛をやりきります。
つづいて2018年『加瀬さん』シリーズ、2019年『フラグタイム』が劇場公開&OVAとしてファン向けにアニメ化。
マス化してからこっち、改めて恋愛百合需要が見直される下地が整ってきている空気を感じます。
結局オリジナル・地上波作品では恋愛にならないのは変わらないのですが……はたして。
2010年代まとめ
・様々な視聴者を取り込む道が模索された結果、日常系、匂わせ系、女の子たちが集ってなにかをやる系が確立
・悲壮な別れは減少するが同時にコア化のリスクがある恋愛百合も壊滅
・恋愛百合ではないので百合と異性愛が併存する
・一方で原作つきの恋愛百合アニメが少しずつ誕生(アニメでは恋愛まで到達しない場合も)
★2020年代
2020年代。
今のところ確立した匂わせ百合をこなしていく百合が描かれています。
2020年『推しが武道館いってくれたら死ぬ』はアイドルとヲタクという変則関係ではありますが、その関係ゆえに恋愛関係にはなりませんし、周囲のアイドル同士の百合で匂わせを賑やかします。
2020年~『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』は踏み込もうとして留まる正統匂わせ系、2022年『リコリス・リコイル』はこれぞ匂わせ! という手慣れた百合さばき。
まあ安パイでしょう、匂わせ系はこれからも。
2020年には『安達としまむら』2021年には『裏世界ピクニック』と、これらも原作は恋愛百合ですがアニメではそこまで到達せずに終了しています。
だから『水星の魔女』が1話で婚約して、恋愛っぽいイベントをこなしてきてから向こう、「そろそろオリジナルアニメでも恋愛百合をやれる頃合いではないか」と「いやいやマス向けアニメで逃げ道作らないわけなかろういつもの匂わせだよ」の天秤で揺れ動いています。
仮に結ばれても離れ離れになるんじゃない?
わからないし、この百合ブームがまた一過性に終わるかもしれないこともなにもかも怖い。
お願いだから明示してほしい、女と女の恋愛アニメの未来を示してほしい、スレミオには。
切に願ってやみません。
漫画における変化のきざし
最後に漫画の話も入れますね。
近年恋愛百合漫画が格段に増えていますが、これに伴ってか今までなら匂わせ百合で終わっていたようなテイストの作品が恋愛を描くようになってきているんです。
(いやでも私がきらら連載をほぼ追ってないからもしきららにももっと前から恋愛百合があったならごめんなさい。)
友情キスの嵐だった『桜Trick』はきらら系日常百合の枠を攪乱しましたが、最終的には完全に恋人として結ばれて締めくくられます。
同じくきららの『こみっくがーるず』もついに恋愛の一歩を踏み出しました。
ギャグコメ路線では『なぜ備さんはいつもいやらしいことばかり想定して危機管理しているの?』と『世界で一番おっぱいが好き!』が。
『備さん』は打ち切りになりましたがコメディ系なのに恋愛的に意識しあってて新鮮で、あともう少しでした。
『世界で一番おっぱいが好き!』はもろにヘテロ男性向け百合なので、これも今までなら(エロ漫画でなければ)恋愛には至らなそうですがこのたび至っている。エロくてシリアスやらなきゃ恋愛しても受け入れられるようになったのでしょうか。
そういえば『私と彼女のお泊まり映画』は本編自体は匂わせ百合ですが最終回後を追ってると付き合ってることもありました。
安定マスジャンルグルメ漫画でも『作りたい女と食べたい女』や『すいとーと!』とはっきり恋愛を描く百合が出てきています。
……百合漫画界はこの10年ですっかり様変わりしたなあって思えるんです。
どうか百合アニメももっと恋愛をやるようになってほしいです。恋愛をやって、別れず、世界からも逃避行せず、共にこの世で生きてほしい。
個人の趣味としては百合かつ恋愛かつ激愛かつ如何とも形容しがたい特別な想いで結ばれてくれ。百合よ。
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『水星の魔女』最終回後追記。
いやあ……どう思えばいいんだろうこれは……?
死なず別れず世界を去らず恋愛結婚してくれてうれしい~やっとだ~😢
という気持ちと
この……周到にハードル上げてったわりには日和ったな こうして突っ込みが曖昧になる程度に申し訳しつつ
という気持ち……