青い月のためいき

少女漫画とかアニメとかセクシャリティとかの考察・分析。

エメリー語りと真矢ちゃん語り

蒼穹のファフナーEXODUSも残すところあと3話。
エメリーと真矢ちゃんがとんでもなく愛くるしいです。
吐き出したくなったので語ります。




★エメリー語り

エメリー・アーモンド
>エメリーにとっても美羽の存在は不確かなもので、実際に対面するまでは実在するかどうか自信を持てずにいた。

エメ美羽のなにに一番ときめくかってここだよ。
不安をずっと抱えていたんだエメリーは。
世界平和のために自分ひとりじゃ力不足だとわかっていて心寄せられる人が誰もいなくてずっと孤独な「戦い」をしていたのがエメリーなのよ。
「いるって信じてた。絶対に」と言いつつやっぱり不安だったんだな!て。
いえ、不安だったからこそそういう言葉が出るんだ。
「絶対私の空想なんかじゃないって」ってね、空想のお友だちかもしれないと孤独を抱えていたエメリーを思うとね、もうね。


エメリーと美羽が初めて交信してからエメリーが竜宮島にやってくるまで数ヶ月はあったんじゃないかなと推測してます。
そんなすぐにはエメリーやナレインがシュリーナガルを離れられるとは思えないし、何よりそんな不安から解放されて涙を流すエメリーの切実さから一週間そこらなはずがない。
数ヶ月心もとない美羽の存在に縋って生きてきたエメリー……。推せる。

ただそうなると1話弓子の「最近空想のお友だちとばっかりお話してるのよ」という説明台詞が曲者で、最近になるまで弓子は気づいてなかったの?となってしまいずっと矛盾に苛まれていたんですけど、ドラマCDにて夢で会っていたと明かされて晴れて決着がつきました。
エメリーは忙しくて最近になるまで夜にしか話せる時間がなかったんだきっと。時差もそんなになさそうだし。
全部私の脳内設定だけど。


エメリーの家族問題は何も明らかにされてないので想像しかできないけど、エメリーが美羽を必死に守ろうとしていたのは弟を守れなかった代わりなんじゃないかと思ってます、今のところ。
エメリーは家族と故郷を失って、ハワイでも対話を試みたのに自分一人しか救えなかったことを、結構重責に感じてるんだろうなと思う。
だから今幼いながらにエスペラントの役目を自覚し全うしようと頑張ってるんじゃないかと。
対して美羽は、平和な竜宮島で育ってきて、フェストゥムとの対話で島を守り、共存への一歩も踏み出したスペシャリストで。
エメリーはそれを勇気の糧にして、憧れと恭慕を抱いていたんじゃないかなと思います。重責に溺れそうになったときの支えが美羽だったんだろうな。

最重要のエスペラントである立場ってすごく重いだろう。人類の未来を背負ってるわけだし。
エメリーがその立場でずっと働いてきたからこそ、美羽がエメリーより強い力を持つエスペラントだという事実はエメリーを公にも私にも支えていたんだろうと思うんです。
公に支えたのが8話での「私がいなくなっても希望は失われない。生きて受け継いでくれる」で、あれは美羽がいたからこそ言えた台詞だし、でなければ「絶対に死ねない」というプレッシャーが常時かかっていて、エメリーにとってそれは辛いことだろうなと。
私に支えたと垣間見えるのが『THE FOLLOWER』での取り乱しだったんだと思います。
ごく単純に、「美羽がいなくなったら(私にとって)嫌だ」という。

もしそういう私的な部分がなかったら、いずれ「大義のためにはエゴを切り捨ててよい、切り捨てなければならない」というヘスター的発想になっていたかもしれず、自分を守ることも恥じ入ることもなくそれゆえに島のエゴを尊重することもなく「美羽やあなたを苦しめてごめんなさい」と泣くこともなかったんだろうなあ。

HAEまでは全然、美羽のことバイリンガル幼女くらいにしか思っていなかったのだけども、まさしく正しく世界の希望であり、エメリーのミューズでありつづける美羽もまた美しいなと思うし、しかしその美羽を神格化まではさせず負担をかけないように努力しているエメリーとなるとせつにいとおしいというものです。





★真矢ちゃん語り

今の真矢ちゃんが大好きです。
というのも私はエゴイストが好きで、エゴをエゴと理解してそれでも周りを省みず開き直って突き通す人というのがたまらなく好きだから。


『クズの本懐』1巻の主人公がちょうど大好物なエゴイストで、
「人のモノにあんまり無許可でひっつかないでね」
と自分の彼氏にまとわりつく女相手に言うんですけど、実は彼氏といっても自分を慰めるために互いを利用しているだけで純粋に好きなわけではまったくなくて、
なのにその彼氏のことを"純粋に好き"な女に罪悪感なく「彼氏」を独占していいと開き直る主人公にとても痺れたのですが。


ひるがえって真矢ちゃんは昔からエゴイスティックな部分があった。
ジョナミツが「エスペラント二人を守る」と言ったのを、「美羽と弓子二人を守る」にいつの間にか読みかえていたのは真矢ちゃんのエゴの表れだ。
真矢ちゃんはそういうエゴを自覚してもいたし、エゴへの引け目もエゴをどう対処すればいいのかも知っていた。
だから抑制すべき勘所を理解して、「戦いたいなんて間違ってるよね」と言い、「あたしが戦うからお姉ちゃんもお母さんもみんなに責められずに済む」と立ち回ることができた。
それでも唯一曲げられなくて、また真矢ちゃんにとって曲げなくてよかったのが一騎を守ることだったんだろうな。
だって「皆城くんなら何かできる」から。笑
総士なら一騎を守れると信じていたし、だから甘えられたし、エゴをぶつけることができた。
その気持ちは戦いつづける限り報われることはないけど、譲りたいと思ったこともないんだろう。
もちろん19歳の彼女は総士でもどうにもならないと知っていたから「仕方なかったよね」と言えるんだけど。それもまたエゴの押し殺しである。


EXO15話で自分の善悪を揺るがされてからずっと「人を守るために人を殺してもいいものなのか?」と考えつづけ、18話でやっと"自分にとって"一番大切な一騎を守ることは他の何より優先すべきことだという道を選べて、開き直る準備ができたのでしょう。
だから開き直りきった23話がもう爽快でね……突き通せるのだもう彼女は。

そして文字通りその引き金を引かせるのは一騎でよかったし、一騎でなければならなかった。
美羽も総士もみんなも大切な人ではあるんだけど、覚悟を決めさせるには真矢ちゃんにとって一番大切な人でなければならなかった。
そこから逆算して、だからこそ一騎は朴念仁の無頓着で人を非対等に扱う必要があったし、真矢ちゃんの一騎を守りたい気持ちを抑圧する存在でなければならなかったんだな。
ファフナーのすごいところはそういう一騎の姿が元からの一騎像にぴたりと当てはまるところであるし、またこういう真矢ちゃんの末路が元からの真矢ちゃんのエゴの部分の昇華として現れたところであると。
イベントで松本さんが「この(真矢ちゃんが一騎を守るために人を撃つ)ために今までのファフナーシリーズで描かれてきた真矢があったんじゃないかって」という話をされてたけど、そういう錯覚ができるほど綺麗に今までの積み重ねが連なり絡み合っているのが惚れ惚れするよなあ、と思うのです。



覚悟を決めて度胸を手に入れそれを貫く人というのはかくも美しいもので、自分にとっての優先順位をはっきりさせたためにダスティンを躊躇いもせずマインブレードで一刺しする真矢ちゃんにいたく興奮しました。
ダスティンは人々を救うために人を殺しつづけたわけで、それよりももっとミクロなレベルで大切な人を守るために人を殺す、そういうエゴが勝った瞬間だと思う。

しかしエゴをエゴとして突き通すというのはその責任も一手に負うということでもあって、だから真矢ちゃんはそれを引き受けた結果としてヘスターに選ばせるために自爆の覚悟でもってフェンリルを起動した。
そういう掬い方、説き伏せ方がすごいよなー。
その覚悟がまたかっこいいんだわ。

一昔前ならやむなしとはいえエゴのために手を汚した人はそれをそそぐために罪を背負って死ぬのが定石だろうと思うのですが、真矢ちゃんに至ってはそういうことはしないんじゃなかろうかと。
真矢ちゃん、だしねえ。ファフナー、だしねえ。
何より「完膚なきまでのエゴの勝利」というものを見てみたいんだよな、私は。
ここまで勝っているから勝ち逃げしてほしいんだ。
『クズの本懐』はエゴを描きたいわけではなく、主人公に芯がなかったのでその後気持ちがゆらゆらしていて、貫いてはくれないのだなあと私は次第に興味をなくしていきました。


とりとめないけど語れたのでまあいいや。
ともかくエメリーと真矢ちゃんが大好きです。