青い月のためいき

百合とかBLとか非異性愛とかジェンダーとか社会を考えるオタク

日本では結婚手続き簡単すぎて婚外子が少ない

図録▽婚外子(非嫡出子)の割合(国際比較)

こんなページ見つけた。

世界的に婚外子増えてるね、欧米と比べて日本の婚外子の割合低いね、それでは各国の事情を見てみましょうって内容。

もっとも、日本で、皆婚慣習が根強く、婚外子が少ない理由としては、他のアジア諸国と同様に古い家族形態が存続しているためというより、戦後、新しい自由な結婚制度が世界に先駆けて成立したからという見方も成り立つ。

そんで日本の「未婚の母(父でもいいけど大抵母ね)」に風当たりが強くなる構造として書かれたことがちょっと目から鱗だった。


日本国憲法は第24条1項で「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」としている。
「合意のみ」とは、年齢や健康上の理由、親や親族の意見・強制、あるいは宗教、教会や地域の慣習による制約などは法律上は認めないという意味であり、そうした制約を前提とした一切の法令上の規定は憲法違反となる。
この結果、役所への届出だけで婚姻が成立し、離婚も協議離婚が容易に認められるという世界でも最も簡便で自由な結婚制度が生まれた
(下線太字は引用者による)

婚姻届と身分証明書と印鑑(三文判可)と戸籍謄本(450円くらい)さえあれば役所に提出するだけで結婚できる日本。
他の複雑な制度を持つ国と比べて、これは前衛的すぎた。
「単に結婚する」ことへの障害が全くない。
だから、子供を持っていながら事実婚を選択する理由が見当たらないのね。
それゆえ「結婚できない」人は必然的に何らかの重たい事情を抱えてるってことになる。
それが日本の「未婚の母」差別の実態かー。



★世界の結婚制度がどれだけ複雑かをちょろっと調べてみた

・結婚と結婚式がセット
教会や役所などで必ず行う。もちろん自費負担。
・結婚内容が市役所とか地方新聞とかに公示される
期間内に反対意見がなければ受理される。ストーカーや虐待親持ちの人絶対結婚できないよね。
・各種証明書発行・または提出に手数料かかる

結婚用件具備証明書とか出生証明書とか独身証明書とか色々ある。
・教会や役所で結婚予告
イギリス。日曜日、3週に亘って宣誓しなければ結婚の「ライセンス」が貰えない。
・婚前面談
フランス。地方によってはある。偽装婚防止のため、パートナーのことをちゃんと知っているかを見る。
居住区画が違うとそれぞれの役所に書類提出しなきゃならなかったり、避妊や結婚観についての婚前講座があったり、戸籍がない国だと執拗な本人確認が必要だったり。

め、めんどくせえええええ。
考えてみれば日本て証明写真すらいらないんだもんなあ。ワンコインで貧困層でも結婚できる。
そんで配偶者控除だの生命保険だの冠婚葬祭だの相続だので威力を振るうんだから敢えて事実婚を選択するメリットがほぼない。


★余談。
日本で結婚が簡単なことは、パートナーシップ法が成立されない理由にもなる。
パートナーシップ法ってのは、各国で結婚より簡単に手続きでき、結婚と同等の権利が与えられ、二者の合意があれば宗教や年齢、そして性別も問われず成立するよっていう法律の総称ね。
海外ではLGBTフレンドリーな風潮+宗教問題+結婚が面倒ってことでこの法律が発達していった面もあるけど、日本ではまず難しいわな。
そんでもうひとつ、日本国憲法24条は、去年亡くなったベアテ・シロタ・ゴードンさんというフェミニストが作ったもので、男女平等への想いが強いあまりに「両性の合意」を入れた。
んでそれが日本で同性婚支持する際にネックとなるっていう。

★余談2。
記事に組み込もうとしたけど入らなかった、面白い記事。
婚外子差別問題をより広い視点でみてみよう

婚外子が貧困と結び付けられてしまうのは、その社会において福祉が家族頼みになってしまっていること、性・出生に関する知識や制度がその社会で未発達であることの現れであり、(同棲を含めて)家族形成に対する制度的サポートが得られる環境では、同棲や婚外子はそもそも社会問題になりにくい。

これ見ても、「伝統的な家族」が崩れることへの恐怖心がいかに構造的な話かわかるね。