青い月のためいき

百合とかBLとか非異性愛とかジェンダーとか社会を考えるオタク

NTRを考えてみる

この記事を書くにあたって主に参考にしたのは同人誌『<エロマンガの読み方>がわかる本2 特集:NTR』であるが、いくつかのNTR作品を購入して読んだ。
NTR好きの男性による語りも様々あたっての所感は、一言にNTR好きといってもどこに魅力を感じるかは人それぞれである、という当たり前の結論だった。
しかしそれで終わりにしてはNTRを取り巻く男性ジェンダーの実際は一向に整理できない。
NTR好きの男性自身が当事者研究として行った成果物を読んでみたいが大した論文も見つからないため、仕方ないのでひとまず仮説として考えてみたい。
言い訳になるが以下の論はいずれも非当事者による仮説に過ぎない。
もしもこれを読んで「全然ちがう!」と怒りを覚えたとしたらぜひとも当事者の口で語ってみてほしい。

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百合と男社会の闘争記録 in 2020~いかに男を排除できるか~

百合と男・リターンズ。

koorusuna.hatenablog.jp

ありがたいことに記事をupしてから3年経っても未だにアクセスが多い百合と男の記事。
今でも概ねの主張に変わりありません。
私はそんなに数読むほうではありませんが、そんな私の観測範囲内でもこの3年で溜まってきました。
百合と男の闘争記録が。

……なんっでそんなにも、こんなにも、百合は男と戦い続けるんだ。
答えは前記事でもう書きました。
女が女とつがうことはそれ自体が社会への、そして男への反逆だからです。男に依存せざるをえなかった女たちからの。それが百合の宿命。

前回は百合ジャンルの転換点になるような作品を中心に時代の流れをざっくり見ましたが、今回はわりと単なる羅列なのでお断りを。まあ前回も羅列か。
さて私は根に持つので記事がプチバズったときちらほら謗られた「作者はそこまで考えてねえのに自分の主張のためだけに作品を利用するな」の言葉、覚えてます。
作者の意図を越えた分析を延々やってるブログを書いてきた身として5本の指に入る嫌いな言葉、「作者はそこまで考えてない」。

まず紹介するのは「百合作家が男のこと考えてねえわけねえだろバーカ!!!」。

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『蒼穹のファフナー』「弱さ」とディスコミュニケーションの幻想

気づけば前回のファフナー記事から半年以上あいてんな。BEYOND4-6話公開挟んでるのに。
原因ははっきりしてて冲方丁の発言(冲方丁 ぶらりずむ黙契録 2019年8月23日ブログについて - 青い月のためいき)でテンション下がってたところに単純に4-6話がつまんなかったから書く気が起こらなかった。
でもまあ今回は無印の話なので関係ないよ。

ファフナーと「弱さ」の話についていろいろ書こうと思ってたんだけど書いてるうちに当初結論としたかったイメージが最終的にしっくりこなくてまた初めから書き直している。
今まで書いてきたような記事ではないです。全然。覚書。
このブログの他のファフナー記事を見た上でこれも読んでくれる人がいたらそこだけ断っておきます。

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『シムーン』全26話 読解・解釈まとめ

頭の整理のために書く、暫定解釈です。

目次

  • 聖なるもの⇔穢れ
  • 25話の奈落の底
  • アムリアとネヴィリルの失敗
  • アーエルとネヴィリルの物語とは
  • モリナスの物語
  • ドミヌーラとリモネの物語
  • シムーン』になぜ性が要請されたのか
  • それぞれの物語
    • パライエッタとネヴィリル
    • カイムとアルティ
    • ロードレアモンとマミーナ
    • ユン
    • フロエ
  • シムーン』におけるヘテロノーマティビティ・ジェンダー規範批評
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