青い月のためいき

百合とかBLとか非異性愛とかジェンダーとか社会を考えるオタク

【新居昭乃歌詞分析2016】コラム:『Wings of Blue』の中の昭乃さんらしさ

 このタイトル、逆説的に「『Wings of Blue』は昭乃さんらしくない」と言っているように見えますね。言っています。
 ではなぜ昭乃さんらしくないのでしょうか?
 まずこれを考えてみます。

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【新居昭乃歌詞分析2016】コラム:『Orange Noël』読解

 昭乃さんは「森」の一面を庇護と救済を約束する母なる閉塞空間と捉えていることは明かしました。
 例えばそれは“ソラノスフィア”の概念とは違います。ソラノスフィアは心配も不安もない安息の地でありながら自由に行き来できる、外界に対して開けている場所のことです。それは昭乃さんの「内向きかつ前向き」な性質として実にわかりやすい概念でしょう。
 それと対立する概念がここで言う、外界から完全に塞がれてしまった森です。

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【新居昭乃歌詞分析2016】母性への強い関心について-『そらの庭』に見る母性性と現在への跳躍-

 昭乃さんは母性の体現者です。この命題におそらく異論はないでしょう。昭乃さんの歌う言葉にはそれが如実に表れています。
 例えば空はしばしば見守り包み込んでくれる母性となって出現しますし、『昼の月』『月の家』の流れにも、恋する少女が相手を守りたいと思うようになるという、典型的な少女から母性への成長を窺うことができます。

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【新居昭乃歌詞分析2016】歌詞の変遷-人とのつながりへの切望とその救済-

 去る2014年、ファンクラブイベントにて、この機会にとばかりに新居昭乃歌詞分析を発表しました。発表の場を与えてくれた企画者の方、ありがとうございました。
 ひたすら語句をデータ集計する方法で、そこで発見したことも多かったです。が、心残りもありました。本人名義で出している曲しか範疇にしなかったこと、個々の単語の抽出だったので文脈では正確に捉えられない部分もかなりあったこと、それと、時系列にかかわらずいっしょくたに分析したために時代ごとの変遷を見ていくことができなかったこと。しかし集計だけで力尽きてしまったので次回以降にと断念しました。

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