【新居昭乃歌詞分析2016】コラム:『Orange Noël』読解
昭乃さんは「森」の一面を庇護と救済を約束する母なる閉塞空間と捉えていることは明かしました。
例えばそれは“ソラノスフィア”の概念とは違います。ソラノスフィアは心配も不安もない安息の地でありながら自由に行き来できる、外界に対して開けている場所のことです。それは昭乃さんの「内向きかつ前向き」な性質として実にわかりやすい概念でしょう。
それと対立する概念がここで言う、外界から完全に塞がれてしまった森です。
「百合=恋愛のみ」じゃないって何度言ったらわかるんだ
※『リズと青い鳥』『兄の嫁と暮らしています。』のネタバレがあります
『リズと青い鳥』を見たでしょうか。
あの映画では羨望憧憬好意嫉妬羞恥尊大尊敬哀切依存刷り込み見下し独占欲自意識焦燥陶酔幸福寂寥絶望希望鮮烈支配傲慢信頼安心純心拘泥包容愛、その他様々な女と女の感情が取り交わされています。
これをあなたは「百合」と呼ぶでしょうか。
それとも「百合ではない、もっと別のなにかである」と言いますか。
私は百合と呼びます、ていうか『リズ』でさえ百合ではないと言うなんて思いもつかなかった。
タイトルで煽ってみましたが私の言いたいことはそれだけです。
百合は恋愛感情のみではなく女と女の間に発生するプリミティブな感情すべてを包含する寛容かつ広大なジャンルであること。